HRN通信 ~「今」知りたい、私たちの人権問題~

日本発の国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが、人権に関する学べるコラムやイベントレポートを更新します!

HRNインターンに聞く③「人権問題は身近なもの。投稿からアクションに繋げるための秘訣」

 

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ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)でインターンをしている学生同士のインタビュー企画「HRNインターンに聞く」シリーズ。第三弾の今回は、ビジネスと人権プロジェクトのインターンとして活動している、豊吉里菜さんに話を聞きました。

 

「投稿を見てくれた人たちが、何らかのアクションを起こしてくれたら嬉しい」
そう語る豊吉さんが、投稿づくりで大切にしていることとは?

 

インタビュイー:豊吉里菜(ビジネスと人権プロジェクトインターン

インタビュアー:金田花音(広報インターン

  • ビジネスと人権プロジェクト専任インターンとは?
  • 「産業別に学ぶビジネスと人権」とは?
  • 動画紹介を通して、人権問題をより身近に
  • 豊吉さんのお気に入りの投稿。その理由は?
  • 投稿づくりで大切にしていること
  • これから投稿を見る人へ

 

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世界難民の日に考える、日本の難民問題 

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6月20日は「世界難民の日」です。2000年12月4日、国連総会で「難民の保護と支援に対する世界的な関心を高め、UNHCRを含む国連機関やNGOによる活動に理解と支援を深める日」として決議されました。(UNHCR)

 

現在も、紛争や迫害で故郷を追われている人は8000万人以上にも上ります。コロナ禍で、難民の人たちはとくに脆弱な立場に置かれています。そのような人々に安全をもたらすためには、一人一人の行動が重要です。世界難民の日をきっかけに、日本の難民問題について知り、わたしたちに何ができるか一緒に考えてみませんか?

 

 

難民の定義

「難民」とは一体どのような人たちのことを指すのでしょうか?

 

難民条約によると、「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」とされています(1951年 難民の地位に関する条約、通称「難民条約」)。日本も1981年に批准しているため、日本の国内法(入管法)でも、この条約をもとに難民を定義しています。

 

日本の難民について

それでは日本では、一体どれほどの人たちが「難民」として保護されているのでしょうか?
残念ながら、現状はとても少ないです。

 

2020年現在、日本の難民認定率は1%にも満たない条項です。(入管庁)

昨年難民申請した人は5439人、そのうち難民と認定された人はたったの46人であることからも、狭き門であることが分かります。そのため、多くの人が繰り返し申請をしている現実があります。

 

長期収容問題

不法入国、非正規滞在などの理由で、在留資格がない人たちは、入管制度上、国外退去の対象となります。入管庁は行政権限を使って、その可能性のある人たちを全国9か所以上の収容施設で、収容しています。(アムネスティインターナショナル, 移住連「Mネット」)

 

しかしそのような人たちを収容する際、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)には「送還可能なときまで」としか書かれていないため、無期限に収容する運用がなされています。(アムネスティインターナショナル)

 

このような現状に加えて、脆弱な医療体制など収容施設での劣悪な処遇によって、収容所で長期収容されたまま人が亡くなる事例が発生しています。

 

2019年6月、長崎県の施設に収容されていたナイジェリア人男性が、ハンガーストライキを行い亡くなりました。男性は2015年11月から収容されており、長期に渡る拘束に抗議していました。(東京新聞

 

その他にも2021年3月には、名古屋市の施設に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなりました。ウィシュマさんは2020年の8月に収容され、その約半年後に施設内で亡くなりました。今年から体調の悪くなったウィシュマさんは、施設内で医師の診察を受け、カルテでは入院を勧められていたことが分かっています。しかし、彼女は入院することはなく亡くなってしまいました。カルテが発覚する前に作成された入管の中間報告では「医師から点滴や入院の指示がなされたこともなかった」と記されており、入管庁の隠ぺいが疑われています。(NHK

 

入管法改正について

改正案作成の背景

入管法改正案については、2019年のナイジェリア男性がハンガーストライキによって亡くなった事件のあとから議論されていました。「収容・送還に関する専門部会」が設置され、2020年6月に提言を発表しましたが、その提言内容自体も大いに問題がありました。この提言を踏まえて作成された改正案には、難民申請中の者を送還することを可能とする規定や、送還を拒んだ場合に罰則を科すなどの規定があり、事情を鑑みず強制的に排除が行われる可能性があるとして、人権上の問題が懸念されました。(移住連「Mネット」)

 

しかし、2021年2月19日、政府はその入管法改正案を閣議決定します。これに対し、UNHCRや国連特別報告者らから、再検討を求める書簡が政府に送られるなどしました(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター)。ウィシュマさんの死亡事件も重なり、署名活動等を通じた世論の高まりも受け政府は採決を見送ることになりました。

 

この入管法改正は長期収容問題や送還忌避者を問題視するものでしたが、それらの問題の根本的な原因は、日本の難民保護制度が国際基準に大きく劣っている点にあります。それにもかかわらず、根本的な原因に対しては何ら手当をすることなく、速やかに送還することだけを狙った改正案は、本来、保護されるべき難民申請者を送還してしまう深刻な危険をはらむものです。

また、国際人権基準では収容は例外的措置であり、無期限収容は認められず、上限つきの収容であっても司法審査を経て収容の必要性・相当性・比例性が認められなければ許されませんが、法案はあくまで収容を原則としており、無期限かつ司法審査も無く、必要性等の要件もない点も大きな問題でした。その他にも上述の難民申請者の送還を可能にする規定や国外退去命令に加え、監理措置や補完的保護を新設する規定もありましたが、それぞれ問題を含むものでした。

 

入管法改正案は今国会での採決を見送り、事実上の廃案となりましたが、残念ながら日本の難民保護制度や収容制度が改善されたわけではありません。長期収容問題をはじめ、難民認定率が先進諸国と比べて極端に低いことなど、未だに多くの問題が山積みです。引き続き、この流れを注視し、問題についても声を上げ続けていくことが重要です。

 

日本における難民の人権を守るために

HRNはこれまで、日本の難民問題や入管法の問題に対し、イベントの実施や声明の発表など、様々な活動を行ってきました。

 

 ・新人歓迎学習会「難民支援と入管法改正問題」

 

 ・【動画公開】「入管法改正ここが問題」ヒューマンライツ・ナウ高橋済事務局次長が分かりやすく解説

 

 ・難民・移民の人権侵害に対する活動

 

 ・ 国連人権理事会の特別報告者から日本政府に向けて発出された 入管法改正案に関する懸念表明と対話を求める共同声明について

 

 ・【声明】入管施設における恣意的収容の廃止及び法的改善を求める

 

さいごに

日本で起きている難民問題について、私たちにできることは何でしょうか?
日本の入管法に詳しい高橋済事務局次長にコメントを頂きました。

私たちに今すぐにできることとして、「難民」という言葉の意味を正しくとらえて、社会に広めることがあります。広め方は人それぞれです。HRNの活動もその一つの方法です。難民条約にいう「難民」とは、政治的な理由などによって、本国で生命の危険が及ぶなど危害を加えられる危険性のある状況にいる人たちのことを意味します。ボロボロの服を来ていることが難民でもなければ、困って泣いている人という意味でもありません。そういったことから社会の中の理解を広める必要があります。

 

HRNは引き続き、日本における難民問題に対して声を上げていきます。是非、世界難民の日をきっかけに、この問題について調べ、何か一つでもアクションを起こしていただけると嬉しいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。参考になりましたら、シェアをお願いいたします!

 

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参考文献

 難民条約についてーUNHCR

難民の地位に関する1951年の条約ーUNHCR

 令和2年における難民認定者数等についてー出入国在留管理庁

 Open the Gate for All

 日本の難民・移民 - 外国人の収容問題ーアムネスティ・インターナショナル日本

長崎に収容のナイジェリア人「飢餓死」報告書 入管ハンスト初の死者ー東京新聞

スリランカ人女性の死が投げかける入管施設の“長期収容”問題ーNHK

特別転載】入管長期収容問題を考える②ー長期収容問題とその解決に向けて(Mネット2020年4月号より)ー移住連

 入管法改正案に関する国連勧告に背を向ける日本政府に批判相次ぐー一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター

 国際社会(2021年4月6日)国連人権理事会特別手続専門家らによる政府提出の入管法改正案に対する共同書簡(2021年3月31日)(日本語仮訳)

 入管法改正案を閣議決定 難民申請中の送還停止2回までー朝日新聞

入管法改正案について―出入国在留管理庁

 入管法は今、どう変えられようとしているのか?大橋毅弁護士に聞く、問題のポイントとあるべき姿ーdialog for people

 【特別転載】入管法改悪反対④-「入管法改正案」に反対する~専門部会提言の批判的検証-(Mネット2020年6月号より)ー移住連

 

(文=金田花音)

 

 

今さら聞けない、児童労働とは? なくすために、あなたができること

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これまで、ビジネスと人権プロジェクトでは、産業活動が引き起こしている人権侵害について触れてきましたが、その中でも特に深刻で、様々な産業に共通するのが児童労働

 

本日6月12日は、「児童労働に反対する世界デー」です。多くの子どもたちの権利を守るために、児童労働について学び、私たちができることを一緒に考えてみましょう。

 

あなたの身の回りのものは過酷な児童労働に支えられているかも

世界には、1億5200万人の子どもたちが児童労働に従事しており、特にアフリカやアジア地域で多く報告されています(ILO、2017年)。また、多くの産業で問題になっており、これまでHRNのSNS投稿で取り扱ってきたテーマの中でも以下の産業と関連しています。

つまり、あなたの身の回りにある製品やあなたが普段口にしている食品によって、多くの子どもたちが犠牲になっているかもしれないのです。

児童労働とは?

児童労働撤廃と予防に取り組む国際協力NGO、ACEによると、児童労働には以下の内容のものが当てはまります。

国際条約の定義では、15歳未満(途上国は14歳未満)、つまり義務教育を受けるべき年齢の子どもが教育を受けずにおとなと同じように働くことと、18歳未満の危険で有害な労働を「児童労働」としています。

 

15歳未満でも、家のお手伝いをしたり、学校にちゃんと通いながら放課後や休みの日に家業を手伝ったりすることがあるかもしれませんが、それは児童労働とは言いません。15歳を過ぎて学校に通いながらするアルバイトも、児童労働にはあたりません。

 

お手伝いやアルバイトは、子どもが学ぶこともたくさんあり、子どもにとってプラスになる形で働くことは「子どもの仕事(Child Work)」と呼んで区別されています。ただし、子どもの教育や安全が妨げられないことが前提条件となります。

 

「児童労働」とは、子どもの教育や健康的な成長を妨げる、法律で禁止されている子どもの労働ということになります。

 

そして実際に児童労働をさせられている子どもたちは主に以下のような被害を受けています。

  • 義務教育が受けられない
  • 危険な環境で働かされ、ケガを負い、病気を患い、命を落とすことがある
  • 人身売買された後、無給または低賃金しかもらえないなど、不当な扱いを受ける

児童労働の現場についてもっと詳しく知りたい方は、Instagramの投稿をチェックしてみて下さい!

www.instagram.com

 

どうして児童労働が起こっているのか?

児童労働が起こる要因として、主に3つが挙げられます。

要因1:子どもを働かせてしまう家庭や地域

児童労働が起こっている家庭や地域では、貧困が大きな問題になっています。その日食べるためのお金を得るだけでも大変な家族のためや、政府による教育環境がきちんと整備されていないために教育費が高く、その教育費のために働かなければならないのです。そして、子どもが働くことを当たり前のこととし、教育を受けなくてもいいと認識している地域社会も存在します。児童労働を取り締まる制度が整っていないことも、要因の一つです。

要因2:児童労働を助長してしまう企業や消費者

少しでも安いものを求める消費者や、そのためにコスト削減を求める消費国の企業の行動も児童労働の要因になっています。例えば、価格交渉力が強い企業は、原料の生産者に十分な報酬を与えないといった、公正な取引が行わないことがあります。彼らの大半を占めている小規模農家などが労働者を雇うことができず、不足する労働力を児童労働によって補うケースが発生しています。

要因3:児童労働の連鎖

子どもが児童労働によって収入を得ることができれば、子どもたちの生活状況が改善されるだろうと考える方もいるかもしれません。しかし、子どもが労働市場に参加することで、平均賃金の低下、教育の欠如等の問題が発生してしまうのです。そこから、さらなる貧困に繋がってしまい、子どもが働かざるを得ない状況を生み出しているのです。このように、貧困と児童労働の連鎖を引き起こしています。

児童労働をなくすための国際的な枠組み

児童労働を撤廃するために様々な国際的な条約や、目標ができています。

  • 「最低年齢条約」(第138号)(1973年にILOで採択)

働いてよい最低年齢は義務教育を終えてからであることを定めました。

18歳未満の人たちを子どもと定義し、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。子どもが保護を受ける立場というだけではなく、自分から行動をする権利についても書かれています。

  • 「最悪の形態の児童労働条約 」(第182号)(1999年にILOで採択)

子どもにとって特に搾取的な労働を明確に定め、最悪の形態の労働に就く18歳未満の子どもたちを優先的に保護することを決めました。

  • 「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年に国連総会で承認)

企業は自社が直接的に引き起こした人権侵害のみならず、間接的に助長したり事業と結びついている人権侵害にも責任を負うべきとしています。

  • 「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」(2015年に国連で採択)

17 の目標のうち目標 8 のターゲット8.7 において児童労働撤廃に言及し、2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃することが掲げられています。

 

児童労働をなくすためのHRNの取り組み

これまで、HRNは、著しい人権侵害を含むこの児童労働の実態を一人でも多くの方々に知っていただき、根絶のために声を挙げていただくため、現地での調査と提言をまとめた報告書を公開してきました。

北東インド炭鉱での児童労働調査報告書

2010年、インド・メガラヤ州における過酷な炭鉱における児童労働の実態を調査しました。炭鉱にはネパール、バングラデシュから幼い子どもたちが連れてこられ、危険極まりない労働を強いられ、多くの子どもが命を落としていることが明らかになりました。そして、報告書の最後では、インド政府、国際社会、国際的な産業界に対しての提言を行っています。

hrn.or.jp

Child Labour in the Myanmar Fishing Sector(英語の報告書)

2017年、ミャンマーの漁業部門における児童労働の実態を調査しました。ヤンゴンのサンピャー魚市場で労働者と児童労働をさせられている子どもに数回のインタビューを行ったところ、ミャンマー政府による適切な規制が行われていないこと、ミャンマーの漁業部門とビジネスを行っている海外企業が人権尊重責任を果たしていないことが明らかになりました。そして、報告書の最後では、ミャンマー政府と海外企業に対して提言を行っています。

hrn.or.jp

児童労働をなくすために、あなたができること

その他にも、国際社会では政府やNGOなどによる児童労働撤廃のための様々な取り組みが行われていますが、未だに児童労働の解決に至っていないのが現状です。そこで、問題に関係する企業や消費者が、問題を深刻に捉え、解決のための行動を早急に起こすことが求められています。

 

では、児童労働をなくすために企業や消費者ができることは何でしょう?ビジネスと人権の専門家である、HRNの佐藤暁子事務局次長からコメントをいただきました。

 

企業ができること

企業はまず、児童労働が子どもの権利にとって、非常に深刻な問題であることを改めて認識する必要があります。その上で、自身の事業活動のサプライチェーン上で児童労働が行われていないか、関連するNGOや国際機関の情報なども収集した上で、しっかりとアセスメントしていくことが求められます。そして、児童労働が生じる背景には、貧困や格差といった社会の構造的な問題があることから、自社のサプライチェーンに止まらず、他の企業や団体と連携しながら、根本的な問題をどう改善していくことができるか、ぜひ積極的に議論してもらいたいと思います。現場で活動しているNGOなどとのステークホルダーエンゲージメントもぜひ行ってください。

 

消費者ができること

自分たちが手に取る商品の裏に、もしかしたらこのような児童労働が関係しているかもしれない、と意識してみることが第一歩になります。児童労働が起きる仕組みについて調べてみたり、児童労働に関して活動しているNGOを支援するなど、ひとりひとりの小さなアクションを積み重ねることで、大きな課題も変えていくことができます。HRNのSNSで発信している内容を、友人や家族など周りの人たちにもシェアして、日常的な会話の中でもぜひ話題にしてみてください!

 

おわりに

児童労働は、私たちが持っている身近な商品と結びついており、企業にも消費者にも関係のない話ではありません。企業で働くあなたや、消費者のあなたの行動で児童労働の撤廃へ繋がるのです。ぜひ、できることから始めてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。参考になったと思ったら、シェアをお願いします!

 

参考文献 

ILO「児童労働」

ILO「ILOヘルプデスク 児童労働」

NGO ACE「児童労働入門講座」

日経ESG「急浮上する経営リスク、児童労働問題」(2021/2/10)

アムネスティインターナショナル日本「『子どもの権利条約』と『児童労働』」

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、株式会社オウルズコンサルティンググループ、認定 NPO 法人 ACE「児童労働白書 2020 ビジネスと児童労働」(2020/12)

 

(文・豊吉里菜)

*イベントレポート*4 月28日開催 記者レク「性犯罪に関する刑事法検討会」 取りまとめ報告書(案)を読む〜刑法改正はこれからどこへ向かうのか〜

 

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4月28日、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は記者レク【「性犯罪に関する刑事法検討会」 取りまとめ報告書(案)を読む〜刑法改正はこれからどこへ向かうのか〜】を開催しました。

法務省に「性犯罪に関する刑事法検討会」 が設置されてから約一年が経過した現在、検討会の議論は取りまとめに入り、 取りまとめ報告書(案)が公表されました。

本イベントでは、HRNのメンバーが検討会における議論や残された課題について解説・議論をしました。

検討会で示された論点の検討

はじめにHRNメンバーの寺町東子弁護士より、刑事実体法と刑事手続法に関する論点の説明がありました。

取りまとめ報告書(案)では、まず総論的な事項として現行法がどのように運用されているか、性犯罪が適切に処罰されているかの二つが挙げられています。これついて寺町弁護士は、表に出ていない被害があることや、強い恐怖に直面した際の生物的な反応や虐待被害者の精神医学的な反応を理解した上で、性犯罪の規定のあり方について議論がなされるべきとの認識が確認された、と説明しました。

これを踏まえ、「性犯罪の処罰規定の本質は被害者が同意していないにも関わらず性的行為を行うことにある、との結論に異論ははなかった」というのが検討会での共通の認識となった一方で、性的同意の解釈については意見が分かれたといいます。これについて寺町弁護士は、国民の間でどのような共通認識ができていくのかが重要であることに関しては争いがない、と述べました。

 

次に、報告書で明示されているより具体的な論点について、寺町弁護士より説明がありました。

 暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件

暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件については、「性犯罪の処罰規定の本質は被害者が同意していないにも関わらず性的行為を行うことにある」との認識を前提としつつも、処罰すべき行為を取り込み、かつ、処罰すべきでない行為を処罰対象に取り込まない構成要件の在り方が検討会で議論されました。

暴行・脅迫要件の解釈・運用にばらつきが生じ、被害届不受理、不起訴処分、処罰の間隙が生じていることなどから、安定的で適切な運用に資するような改正であれば検討に値するという点では、検討会委員の中ではおおむね異論はないといいます。その上で、刑法改正に向けては、処罰範囲がより明確となる要件を検討する必要があるとされました。行為者が用いる手段や被害者の状態を改正案において列挙することについては、肯定的な意見が多く見られ、また、列挙する場合の規定の在り方については、包括的な要件(受け皿条項)を設けるべきであるとの意見が多数を占めたといいます。

この包括的な要件(受け皿条項)の定め方として、

A「その他意に反する性的行為」と規定すべきである

B 「抗拒・抵抗が著しく困難」と規定すべきである、 「拒否・拒絶が困難」と規定すべきである

の2つが挙がっているところ、寺町弁護士の私見では、前者(A)は不同意を処罰するものと言いうるものの、後者(B)は被害者が抵抗することを前提にしたもので現行法とあまり変わらないのではないか、との解説がありました。

地位・関係性を利用した犯罪類型

地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方に関して、被害者が一定の年齢未満である場合や障害を有する場合には、そのような特性に応じた対処が必要であることについては、異論がありませんでした。各々の具体的な規定の在り方については検討会委員の中で意見が分かれた、と寺町弁護士より報告がありました。

性的同意年齢

性的同意年齢に関しては、「暴行・脅迫や被害者の同意の有無を問わず強制性交等罪が成立する年齢を引き上げるべきか」が論点となっています。検討会の中では、被害者が一定の年齢未満である場合には、被害者が脆弱であることから、そのような特性に応じた対処の検討が必要であることについては異論がなかったものの、どこまでを絶対的に保護するのか、あるいは相対的保護で足りるのか、など意見が分かれました。

仮に、性交同意年齢を16歳まで引き上げた場合には、14歳以上の者は刑事責任能力(刑法第41条)を有するため、中学生同士が対等な恋愛関係の中で性的行為をすると双方ともが処罰され得ることになりますが、そのような場合までも犯罪とすべきでないことについては異論はありませんでした。その上で、同年代の者同士の性的行為を処罰対象から除きつつ、一定の年齢未満の者を保護するための規定の仕方・罰則の在り方については、検討会委員の中で意見がわかれたといいます。

強制性交等の罪の対象となる行為の範囲

強制性交等の罪の対象となる行為の範囲について寺町弁護士は、改正をする場合には、挿入するものや挿入する部位の性質等に鑑み、その当罰性・悪質性に応じた処罰が可能となるよう、適切な構成要件や法定刑の在り方について更に検討がなされるべきである、と検討会の中では方向性がまとめられていると説明しました。

 

続いて、HRNメンバーの中山純子弁護士より、同じく取りまとめ報告書(案)で明示されている、具体的な論点に関する説明がありました。

法定刑

法定刑において、「2名以上の者が現場において共同した場合について加重類型を設けるべきか」に関しては、現行法定刑の範囲内で適切に運用されているため、現時点では不要、との意見が検討会で出されています。また、「被害者が一定の年齢未満の者である場合」の加重類型の設置についても同様に、現時点では不要とされたといいます。

しかし、中山弁護士によると、特に子どもの保護の仕方については177条、178条、179条、性的同意年齢の規定部分で横断的に保護をする必要があるとの認識がほぼ共有されている、とのことです。

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定

配偶者間等の性的行為に対する処罰規定の在り方に関して、「配偶者,内縁などの関係にある者の間でも強制性交等罪や準強制性交等罪が成立することを明示する規定を設けるべきか」という論点については、明示規定を設けるべきとの方向性が示されているとのことです。

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定

性的姿態の撮影行為に対する処罰規定については、創設すべきであるとの認識は共有されているものの、どのような行為を規定の対象とするのかといった、具体的な規定の在り方については要検討する必要がある、とされたといいます。

また、「没収・消去 撮影された性的な姿態の画像の没収(消去)を可能にする特別規定を設けるべきか」という点について、中山弁護士より、有罪判決を前提としない没収(消去)の必要性は共有されており、具体的な既定の在り方を検討するべきとの方向性が示されたと説明がありました。

公訴時効

「強制性交等の罪について、公訴時効を撤廃し、又はその期間を延長すべきか」また、「一定の年齢未満の者を被害者とする強制性交等の罪について、公訴時効期間を延長することとし、又は一定の期間は公訴時効が進行しないこととすべきか」が論点とされています。検討会委員の間では撤廃については慎重な意見が多数あったものの、年少者は性的行為の意味が分からないために被害認識が困難であることや、大人でも被害認識や被害申告が困難な場合があることについて認識が共有され、性犯罪について公訴時効の完成を遅らせる改正をすることについては、性犯罪一般に対して遅らせるのか、又は一定未満年齢の者に限定するのか、証拠の散逸や法的安定性にも留意しつつ、具体的に検討する方向になったといいます。

レイプシールド

レイプシールドの在り方について、「被害者の性的な経験や傾向に関する証拠を公判に顕出することを原則として禁止することとすべきか」という点については、現行法の中で適切な運用をはかるべきであるとし、現時点で新たな規定の創設には慎重な姿勢を見せたといいます。

※レイプシールド・・・性犯罪被害者の過去の性体験やプライバシーを害する事項について、関係なく尋問されることがないようにするもの 【男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会 『「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策 ~性犯罪への対策の推進~ (案)より】

司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱い

司法面接的手法による聴取結果の証拠法上の取扱いにおける、「その結果を記録した録音・録画記録媒体について,特別に証拠能力を認める規定を設けるべきか」という点に関しては、現時点での新たな規定創設に慎重な姿勢が示されています。その中では、特に子どもに対する尋問のあり方についても議論されたそうです。

刑法改正のこれから

以上の論点を踏まえて、寺町弁護士から刑法改正の今後の動向に関して説明がありました。基本方針として一致した部分はあるものの、具体的にどのような手段を採用するのかについては選択肢の論点整理に留まっている部分があるとの指摘がありました。この取りまとめ案を受けて、法務省がどの論点に関して法改正条文案を作成し、法制審議会に諮問するのか、が今後の議論の焦点になります。

 

閉会の挨拶において、HRNの雪田樹理理事は、ヒューマンライツ・ナウの刑法改正を目指したこれまでの活動内容を振り返り、被害当事者の実態に即した刑法改正を実現したいと強調しました。

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

イベントについては、随時ホームページやSNSでお知らせしています!

ぜひHRNの各種SNSフォローをよろしくお願い致します♪

(文=松下真菜)

HRNインターンに聞く②「人々の人権意識を上げる、SNS投稿づくりのコツ」

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ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)でインターンをしている学生同士のインタビュー企画「HRNインターンに聞く」シリーズ。第二回目は、人権に関する国際デーの投稿といった、HRNのSNSでも特に人気の投稿を作成している、インターンのエン・クイーニーさんにインタビューしました。今回は、投稿づくりの際に気を付けていることや投稿に込めた思いを語ってもらいました。SNSの情報発信で人々の意識を高めたいと思っている方、必見です!

 

インタビュイー:広報・デザインインターン エン・クイーニー
インタビュアー:ビジネスと人権プロジェクトインターン 豊吉里菜

 

 

人権に関する国際デーの投稿について

豊吉:エンさんが今まで作成してきた投稿について簡単に説明していただけますか?


エン:私は、人権に関する国際デーの投稿を作成しています。意外と知られていませんが、人権に関連する国際デーは、年間を通してとても多いです。国際デーの投稿を通じて、フォロワーの皆さんに日頃から人権について考えてもらえるように、投稿を作成しています。投稿づくりに必要な情報収集は大変ですが、一から自分でイラストを描くことができるので、楽しみながら投稿を作成しています。また、みなさんから良い反応がもらえるのは嬉しいです。

 

 

エンさんのお気に入りの投稿。その思いとは?

 


豊吉:今まで作成してきた中で、一番気に入っている投稿は何ですか?


エンさん:「女性器切除の根絶のための国際デー」の投稿です。


豊吉:その投稿は、HRNのSNS投稿の中でも、記録に残るいいねの数を獲得し、フォロワーの数が一気に伸びた投稿でしたね!私も大好きな投稿です。頑張った点はありますか?


エン:実は、私もその国際デーのことはあまり知らなかったんです。なので、たくさん情報を集めていたのですが、衝撃的な情報が出てきて、おそらく多くの人も知らないと思い、その衝撃を伝えたくて、インパクトが強い画像を作成するのを頑張りました。


豊吉:たしかに、あの画像は印象的でした。画像にある花の意味を教えてください。


エン:女性器切除の問題を調べているうちに、この問題によってイノセントな少女たちが痛ましい思いをさせられていることを知り、それを表現したいと思いました。そこで、イノセントなイメージを持つ花に例えて、イラストを描きました。花が締め付けられているイラストから、画像を見た人にもその問題が生み出す痛ましい感情を感じてもらいたいです。

 

投稿づくりで意識していることとは?


デザインのアイデアを引き出すにはリサーチが欠かせない

豊吉:エンさんの投稿といえば、インパクトのある素敵なデザインが特徴だと思います。デザインをする中で、特に気を付けていることはありますか?


エンさん:投稿の中でも、一番最初の画像は、見てもらう人の興味を持ってもらうために、印象的な画像にすることを心掛けています。その画像のアイデアを引き出すために、トピックのリサーチにかなり時間をかけています。

広い観点から情報を集め、問題を理解する


豊吉:情報を集める時に注意していることはありますか?


エンさん:私は、情報を集める際に、様々な観点から問題の情報を集めるようにしています。ある一つの問題についてでも、国によって報道される内容が異なることもあるように、出来る限り多くの情報を集めることが大切だと思うからです。それから、周りの友達に意見を聞くこともあります。実際に経験している人や身近な人に耳を傾けることで、問題について深く理解するようにしています。

最近のニュースと結びつけ、中立的な立場から問題を紹介する



豊吉:投稿での伝え方で心掛けていることはありますか?


エンさん:国際デーによっては、テーマが広いことがあるので、投稿を見る人に関心を持ってもらいやすくするために、最近起こっている問題と関連付けて紹介しています。例えば、5月16日は「平和に共存する国際デー」ですが、「平和」といっても、漠然としていて、取り扱うにはとても広いですよね。そこで、最近のパレスチナ情勢を取り上げて、平和について皆さんに考えてもらいやすいようにしています。そうすることで、皆さんもイメージしやすく、問題に対して関心を持ってもらえると思います。

 

豊吉:なるほど。情報をしぼって伝えることで、投稿を見る側も理解しやすいですね。投稿の内容に含める情報の選び方にも工夫していることはありますか?


エンさん:情報量が多い中で、それぞれの情報を伝えることができれば良いのですが、それは難しいので、中立な立場から情報を伝えることを一番に心掛けています。特に、人の気持ちよりも、数字を中心としたデータを伝えることが多いです。そうすることで、皆さんも問題についてそれぞれの解釈で考えることができると思います。

これから投稿を見る人へ


豊吉:これから投稿を見る人に伝えたいメッセージをお願いします。


エンさん:私の投稿で取り扱う問題に関して、全ての情報が載っているわけではないということ覚えておいてほしいです。投稿で取り扱っている情報は一部分であり、私の投稿を見て、まずは関心を持ってもらうということを目的としています。なので、関心をもったら、そこから自分でリサーチをして、その問題に対してもっと理解を深めてほしいと思います。 

インタビューを終えて

人々の人権意識を高めるために、画像作成のためのリサーチから、情報の伝え方までエンさんが行う様々な工夫についてお話を伺いました。
人権問題をテーマにした投稿は、内容で人を引き込むことが難しいと思っていましたが、情報の伝え方によっては、人々を惹きつけることができるということがよくわかりました。
今回のインタビューの内容は、SNSでアドボカシー活動をしたいと思っている人に向けても、良いアドバイスにもなるのではないでしょうか。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました!
HRNのインスタグラムより、過去の投稿もぜひチェックしてみてください!
これからのクイーニーさんの投稿もお楽しみに!

(文=豊吉里菜)

ミャンマー市民の人権を守りたい、HRNの活動まとめ

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ミャンマーでは、毎日の報道にあるように、クーデターに抗議の声を上げる市民への暴力が日に日にエスカレートし、事態は深刻化しています。国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)は、そんなミャンマーの人々の自由と民主主義を取り戻すため、様々な活動を行ってきました。今回の記事では、HRNがこれまで行ってきた活動を一つにまとめています。私たちの活動報告を通してミャンマーの状況を知り、ミャンマーの人々のためにできることを一緒に考えていただければ幸いです。

 

 

 

声明の発表

ミャンマーのクーデターに関する声明」

2月1日のミャンマー国軍によるクーデター発生後、ミャンマーの人権状況について重大な懸念を表明するため、本声明を発表しました。

声明の全文は以下からご覧いただけます。

hrn.or.jp 

「私たち日本の市民社会は、日本政府に対して、ミャンマー市民の人権を守るためのアクションを求めます」

合計312団体・個人(うち団体170)より賛同の署名を頂き、本声明を4月2日の院内集会にて、外務省に提出しました。ご賛同頂いた皆さま、ありがとうございました。

声明の全文は以下からご覧いただけます。

hrn.or.jp

 

動画声明「渋谷ザニー氏によるミャンマーの軍事クーデタに関する声明」

渋谷ザニー氏は、国際社会に向けて、ミャンマーの軍事クーデタに関する声明(英語)を動画で発表しました。こちらの動画は、3月の国連のCSW65イベントにて提出されました。

渋谷氏のメッセージが多くの方々に届くよう、動画を公開いたしますので、ぜひご覧ください。

youtu.be

 

 

SNSでの発信

ミャンマーでは今何が起きているの?」

SNSでは、ミャンマーで起こっていることから、ミャンマーのクーデターを受けての世界の動き、日本との関わりまで詳しく解説をしています。是非、学んだことを周りの人にシェアしてみてください!

 

humanrightsnow.hatenablog.com

 

 

報告書の公開

ミャンマーの人権侵害と日本企業の関与と責任~ビジネスと人権に関する指導原則の観点から~」

現在でも行われている市民への暴力やロヒンギャをはじめとする少数民族の迫害など、ミャンマーにおける数々の重大な人権侵害は、ミャンマー国軍による行為です。多くの日本企業が、国軍の資金源になっている軍系企業と取引関係にあること、皆さんは知っていましたか?報告書では、日本企業が関与する人権侵害の事例や企業が果たすべき人権上の責任を明らかにしています。

HRNは、ビジネスと人権に関する指導原則の観点から、日本政府に対して、ビジネス上での人権尊重を促進すること、また、日本企業に対して、現在も起こっているミャンマーでの深刻な人権侵害に加担せずに、人権尊重への責任を果たすことを求めています。

報告書の全文は以下からご覧いただけます。

hrn.or.jp

 

提言書の発表

「米国がミャンマー真珠公社を制裁対象に指定したことを受け、TASAKIミャンマー国軍との取引を停止するよう要請します」

4月22日、米国がミャンマー国軍系企業であるミャンマー真珠公社(MPE)を制裁対象に指定したことを受け、日本企業のTASAKIに対し、ミャンマー国軍との取引を停止するようJustice For Myanmarと共同で、要請しました。

提言書の全文は以下からご覧いただけます。

hrn.or.jp

 

ウェビナーの開催

第一回ウェビナー「ミャンマー軍の国際人権・人道法違反と企業の責任を考える」

2月18日に、ヒューマン・ライツ・ウォッチメコン・ウォッチ、日本国際ボランティアセンターと共催で、ウェビナー「ミャンマー軍の国際人権・人道法違反と企業の責任を考える」を開催しました。クーデタの背景、ロヒンギャ問題、そして軍と関連する日本企業の国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく責任について、多角的な視点を登壇者から提供頂きました。

 

本ウェビナーへの参加がかなわなかった皆様も、期間限定でウェビナー動画が公開されていますので、お見逃しなく!

youtu.be

 第二回ウェビナー「ミャンマーの民主主義を守るために〜日本の官民の責任〜」

3月25日、ヒューマン・ライツ・ウォッチメコン・ウォッチ、日本国際ボランティアセンター、ビジネスと人権市民社会プラットフォームと共催で、ウェビナー「ミャンマーの民主主義を守るために~日本の官民の責任~」を開催しました。320人を超える方にご視聴頂き、ありがとうございました。本ウェビナーでは、各登壇者から、ミャンマーの現状の説明やロヒンギャ問題の背景にとどまらず、日本政府や日本企業に求められる対応について詳しくお話頂きました。

 

本ウェビナーの報告は、過去のブログ記事からご覧いただけます。

humanrightsnow.hatenablog.com

 

院内集会の開催


「日本政府に訴える在日ミャンマー人の声」

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外務省及び法務省の回答に対し、一人の在日ミャンマー人女性が政府の対応への失望を訴え、他参加者もミャンマー市民運動のシンボルとなった指三本を上げて彼女に賛同した。

4月2日、在日ミャンマー市民協会と共同でHRNが日本政府に提出した公開質問状について、外務省と法務省からの回答を受けるにあたり、緊急院内集会を開催しました。参加して頂いた皆様、ありがとうございました。


本集会には約150人の参加者と、多数のメディアの方々にお越し頂きました。登壇者の発表には常にビルマ語の通訳者がいて下さり、ときにはミャンマーの歴史的・地理的背景を解説しながら双方の対話のかけ橋となってくださいました。


声明発表や抗議された方々の中には、 「ミャンマー民主化を支援する超党派議員連盟」の中川正春衆議院議員や「ミャンマーの人々を応援する有志の会」代表の方、またミャンマーの各地方出身の方々がいました。特にミャンマー人の登壇者の方々は自らの経験から、それぞれの異なる言語や方言で国軍による抑圧がいかに日常的なものになっていたか、その現状とそれぞれの想いを話して下さいました。会の始めにジャーナリスト・NPO法人8bit News代表の堀潤さんが紹介されたミャンマー市民運動の映像と合わせて、現地で起こっていることがより鮮明に感じられました。
さらに、東京外国語大学ミャンマービルマ語専攻やOBOG有志の方々が自ら集めた7万以上の署名を外務省と法務省代表の方に渡す場面もありました。

 

政府の回答は曖昧であり全く不十分だったといえます。一方で、現地の人権団体は、2月1日のクーデターから5月5日まで殺害された市民は769人に上ると報告しています。ミャンマー国軍との関係をただちに断ち切るべきである、この必要性を日本にいる私たちは自らの政府に訴え続けることが重要です。

 

ミャンマーのクーデターに関する日本政府からの回答は以下からご覧いただけます。

hrn.or.jp

  

さいごに

これからも、HRNは、ミャンマーの人々の声を届ける活動を行っていきます。
活動については、随時SNSホームページで更新していきますので、ご覧ください!

ミャンマーの状況が一刻も早く良くなるために、まずは私たちの発信を通して情報を知り、周りの人にシェアしてみましょう!

 

(文・石田琴音、塚本愛美、豊吉里菜)

HRNインターンに聞く➀「気候変動訴訟に関する投稿に込めた思いとは?」

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ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)でインターンをしている学生同士のインタビュー企画【「HRNインターンに聞く」シリーズ】。第一回目は、HRNのSNS気候変動×人権シリーズを作成・投稿されている塚本愛美さんにインタビューしました。今回は、シリーズの中でも「日本の気候変動訴訟」に関する投稿について、その問題背景や投稿に込めた思いを語ってもらいました。

 

インタビュイー:ビジネスと人権プロジェクトインターン 塚本愛美

インタビュアー:女性の権利プロジェクトインターン 國末りこ

 

 

投稿のきっかけ

塚本さんは、気候変動×人権シリーズの一つとして、日本の気候変動訴訟について投稿しています。ご自身がこのテーマについて知ったきっかけは何だったのか聞いてみました。

塚本さんは、氷河が溶けると自分たちの住む場所が危険にさらされるとして2020年12月に起こされた、スイスの気候変動訴訟を知ったのが最初のきっかけだったと言います。日本にも類似の訴訟があるか調べてみたところ、石炭工場に対する訴訟が見つかったそうです。

 

 

塚本さん:

”国内でもこのような訴訟が起こされているのを知らなかったので、驚きました。”

 

日本でも気候変動訴訟が起こされていたとは、インタビュアーも知りませんでした。そこで、気候変動訴訟は全国でどれくらい起きているのか聞いてみると、塚本さんが調べた限りでは、投稿でまとめたもの以外ほとんど見つけることができなかったという答えが返ってきました。

 

塚本さんが調べたところ、日本では気候変動や環境問題に関する訴訟が起こりにくいと言われています。日本では自然災害が多発し、日本政府はこれに対してある程度は対策を施してきたので、訴え出にくいことが理由として挙げられるそうです。

別の理由として、訴訟を起こすには自分の権利や人権が侵害されているという認識がなければいけませんが、日本の人々には自分が権利を持っているという意識が比較的低かったり、人権侵害というコンセプトが浸透していないことも挙げられるのではないか、と塚本さんは考察しています。

投稿作成時に工夫したポイント

投稿で工夫した点を尋ねると、ポイントは「訴訟を起こした当事者の声」だそうです。

塚本さんによると、実際に気候変動による危機を感じている人の意見を取り入れることで、この問題をより身近なものとして捉えてもらえるように発信できたと感じたそうです。(投稿5枚目参照)

人権問題×環境問題をどう伝えるか

今回の日本の気候変動訴訟の投稿には、塚本さんのどんな思いが込められているのでしょうか。

 

投稿を通して、環境問題と人権の繋がりを発信したいという思いがあったと塚本さんは言います。

 

”人権問題と環境問題はそれぞれ独立した運動としてアドボカシーを進められることが多く、違う問題として捉えられることが多いのですが、例えば環境破壊などは人権問題と直結する問題だと思います。”

 

どうすれば多くの人に理解してもらえるか、投稿の内容を決めるのも難しかったそうです。

 

”漠然とした問題意識はあっても、具体的に何について発信すれば良いか分かりませんでした。でも、訴訟はキャッチーだし知名度も低いので、良いのではないかと思いました。”

 

これから投稿を見る人へ

最後に、これから投稿を見る人に向けたメッセージを聞きました。

 

”投稿を見てくださるだけでも、大きな一歩だと思います。そこから問題意識を持ってくれたら、有り難いです。投稿をきっかけにこれから共に声を上げる仲間になってくれれば、また自分で掘り下げてもらえたらいいなと思います。”

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

 

HRNのインスタグラムより、気候変動×人権シリーズの他の投稿もぜひチェックしてみてください♪

 

(文=國末りこ)