HRN通信 ~「今」知りたい、私たちの人権問題~

日本発の国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが、人権に関する学べるコラムやイベントレポートを更新します!

【インタビュー企画】ミャンマーの若者の声

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今年の2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが起きてもうすぐ、7カ月が経ちます。

 

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、クーデターに関して声明の発表や日本政府への要請書の提出、ウェビナーの開催など多岐にわたり活動してきました。

 

↓詳しくはこちらにまとめています!

hrn.or.jp

 

また、Instagramでもクーデターについて投稿しました。

 

今回は、ミャンマーに住む若者に現在の心境やどのようなCDM(Civil disobedience movement、市民的不服従運動)を行っているのかインタビューしました。

 

こちらの記事では、Instagramの投稿には書ききれなかったことも紹介しています!

ぜひ最後までご覧ください!

 

※インタビューは6月後半から7月前半にかけて実施しました。

 

◆大学生のAさん

 

Q. Aさんが在住の地域で国軍はどのような行動を行っていますか?

A. 私は、現在内戦の起こっているカヤ州デモソに近いカヤー州ロイコーに住んでいます。 

内戦は5月20日から始まり、国軍は、ヤンゴン(最大都市)やマンダレー(首都に隣接している)などの地域よりも圧力をかけてきています。

 

私たちの州の人々が、罪のない人々への襲撃を止めようとしたり、

平和的に抗議したりして国軍の征服を止めようとしているからです。

 

現在国軍はミサイルなどの兵器の使用や、空爆を行っています。

私たちは抵抗を続けていますが、国軍はそのような抗議活動を弾圧しようとしています。

 

Q. Aさんは国内避難民支援のボランティアをしているそうですね?

A. 現在カヤー州には約10万人の国内避難民が住んでいます。彼らは、十分な食料や水などの物資を持っていません。私たちの県は、まだ物資に余裕があるので彼らが必要としている物を提供しています。

 また難民の方々の必要なものを届けるために、Facebookでページを作って寄付を呼び掛けています。ですが、国内避難民に物資を提供したため国軍に撃たれた人や逮捕された人もたくさんいます。

 

Q. ほかにも国軍の定めた新しいルールはありますか?

A. 一度彼らの口から出た言葉はルールになる可能性があるので、国軍によってつくられた何百万もの新しいルールがあります。

 例えば、公共の場で黒いシャツを着ることは禁止されています。黒いシャツは悲しみを表すと軍は考えているからです。そのため、抗議活動の際に黒いシャツを着るようなキャンペーンもありました。
 

Q. Aさんは学校をみんなで休むといったCDMを行なっていましたが、他にはありますか?

A. 私たちは、軍が私たちに権力を及ぼすようなことは望んでいないし、もし軍が何かをやれと言っても、従いません。誰でもCDM(Civil disobedience movement、市民的不服従運動)をすることができます。たくさんいる政府役人がオフィスや仕事に行かなければ、国軍は何も実行できません。あとは、請求書や水の電気の公共料金を払わないなどのCDMを行っています。

 

Q. ニュースで、ミャンマー経済が悪化しているということを聞きました。CDMの目的の一つでもあるのかなと思いますが暮らしていて、感じたことや現状などを教えてください。

A. ミャンマーの人々はみんな、軍の支配下には屈したくないのでCDM運動をすることを決断しました。そして、その目的のひとつはミャンマー法治国家にすることです。そのため、もしこの運動が失敗したら、国民は最悪の事態を経験することになるのです。

現在多くの人が銀行からお金をおろしていて、中にはアメリカドルに交換している人もいます。ミャンマーの通貨の価値はどんどん下がるでしょう。
しかし、銀行からお金が引き出せずに現金をまったくもっていない人も多くいるのが現状です。それと同時に、物価はどんどん上昇しています。
また、銀行にお金を入れておくと国軍が武器の調達などに使ってしまうと考えているため銀行は信用されていません。 
 

Q. 地元でニュースが見られなくなったため、新聞を印刷して配布していたそうですが、そのことについて詳しく教えてください。

A. まずこの新聞は、ニュースを伝えるための連絡手段でありデモでの死亡者数や負傷者数などの衝撃的な事柄を発信していました。
誰が制作しているのか詳細はわかりませんが、作ったのは恐らくヤンゴンマンダレーの学生たちで、彼らはFacebookにその新聞を投稿しました。
 私たちはその新聞を印刷して、情報を得られない人たちに渡しました。このような行為は、国軍から犯罪とみなされるため非常に危険です。
 

Q. 若者世代が活発に抵抗していると聞きましたが、若者たちの現状や活動について教えてください。

A. 私たちそして若者たちは、平和的に抗議をしましたが、それでは民主主義を取り戻すことはできませんでした。
武器を持ち軍に対抗することを決めた若者もおり、People's Defense Forceのような無実の市民を守る団体が作られています。
このような団体があるからか、軍はCDM(Civil disobedience movement、市民的不服従運動)を行う人々や著名人などの罪のない人々を逮捕したり攻撃したりはしていません。
 

Q. 日本政府や日本の一般市民に求めることは何ですか?

A. 日本政府が選挙で選ばれた政府が設立したNUG(国民統合政府)に正当性を与えてくれれば、我々の問題を改善することができると思います。また関連団体への寄付は非常に助かります。
 

まとめ

今回インタビューをうけてくれたAさんのように、ミャンマーでは多くの若者が危険と隣り合わせにありながら、民主主義回復のために戦っています。
現在は、新型コロナウィルスなどの感染拡大によりますます状況は悪化していると予想されます。しかし、それでも戦い続けている人々が大勢います。今回インタビューをしたAさんもその一人です。
 
日本をはじめ、ミャンマー国外からでもできる支援を一緒に考えていきましょう。
 
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